キリンは、だまって葉を食べるだけの動物ではありません。よく会う仲間を選び、子どもを一緒に見守り、夜には低い声を出すこともあります。
この記事では、科学者が観察や実験で調べた8つのふしぎな習性を、親子で楽しめる言葉で紹介します。
先にひとこと:研究で「わかったこと」と、まだ答えが出ていないことを分けて読んでみましょう。
絵でわかる!キリンの社会生活

1.群れは、集まったり分かれたりする
キリンの群れは、いつも同じメンバーではありません。何頭かが集まって葉を食べ、しばらくすると別々に歩きます。また別のキリンと出会うこともあります。
これを科学者は「離合集散」と呼びます。子ども向けに言えば、休み時間ごとに遊ぶ友だちが少し変わるような社会です。
2.メスは「よく会う仲間」を選ぶ
群れが入れ替わっても、メスには何年もよく一緒になる相手がいます。2021年の長期研究では、平均して多くのメスと一緒にいた成獣メスほど、生き残る割合が高い傾向も見つかりました。
まだわからないこと:仲間が多いから長生きしたのか、元気な個体だから仲間が多かったのかは、これだけでは決められません。「友だちを増やせば必ず長生き」という意味ではありません。
3.子どもを集めた「キリンの保育園」がある
子どものいるメスたちは、何頭かの子どもを集めることがあります。母親以外のメスが近くで見守ることもあり、この集まりは「ナーサリーグループ」や「クレッシュ」と呼ばれます。
母親が食べ物を探す時間をつくり、子ども同士が遊びながら社会のルールを学ぶ助けになると考えられています。
親子で考えよう:みんなで子どもを見守ると、どんないいことがあるでしょう?
夜に見える、もう一つの顔

4.立ったままだけでなく、横になって休む
キリンは立ったまま休むこともありますが、夜には地面に座ったり横になったりします。首を後ろへ曲げ、頭を体の近くへ置く短い姿勢は、REM睡眠に対応する姿勢と考えられています。
野生では、何頭も同時にその姿勢になることはまれでした。横になる仲間の近くで、立ったまま周りを見る個体も観察されています。
まだわからないこと:野生のキリンで脳波を測った研究ではないため、この姿勢が必ずREM睡眠だと証明されたわけではありません。「キリンは1日20分しか眠らない」と単純に決めることもできません。
5.夜に低い声で「ハミング」する
2015年、3つの動物園で夜の音を947時間以上録音した研究が、低いハミング音を65回記録しました。キリンはまったく声を出さない動物ではなかったのです。
まだわからないこと:暗い時間の録音だったため、どのキリンが、何のために声を出したのかは確認できませんでした。仲間を呼ぶ声かもしれませんが、意味は研究中です。
びっくり!体と耳を使った情報集め

6.オスは、尿のにおいからメスの状態を調べる
オスは、メスの尿を口で受け、上くちびるをめくることがあります。口の奥につながる「鋤鼻器」というにおいの器官を使い、繁殖できる時期が近いかを調べていると考えられます。
長い首と重い頭を地面まで下げずに、どのメスの情報かを確かめられる方法です。人間には驚く行動ですが、キリンにとっては大切な情報集めです。
7.植物を食べるのに、骨を噛むことがある
キリンは植物を食べる動物ですが、野生で古い骨をくわえ、噛んだりなめたりすることがあります。この行動は「オステオファジー」と呼ばれます。
ミネラルを補うためという説がありますが、キリンで目的が直接証明されたわけではありません。骨を飲み込むとは限らず、安全な行動とも限りません。
8.ウシツツキの警報を聞き分ける
キリンの体にとまるウシツツキは、危険を感じると警戒声を出します。2025年の実験では、野生のキリン53頭に鳥の声を聞かせました。
ウシツツキの警戒声を聞くと、キリンは食べるのを止め、耳や首を音の方向へ向けて周りを見ました。ライオンがいる地域のキリンは、捕食者がいない地域のキリンより強く反応しました。
わかったこと:キリンは別の種類の鳥の声を、危険を知る手がかりとして利用できます。
8つを一目で比べよう
| 習性 | 子ども向けに言うと | 研究の注意点 |
|---|---|---|
| 群れの入れ替わり | 遊ぶ仲間が少しずつ変わる | 組み合わせは完全な偶然ではない |
| 長い関係 | よく会う仲間がいる | 仲間の多さと生存には「関連」がある |
| 保育園 | みんなで子どもを見守る | 役割はまだ研究中 |
| 短い睡眠姿勢 | 横になって首を曲げる | 脳波でREM睡眠と確定したわけではない |
| ハミング | 夜に低い声を出す | 声の意味は不明 |
| におい調べ | 繁殖の情報を集める | 口の奥の器官を使う |
| 骨を噛む | 古い骨をくわえる | 目的は未解明 |
| 鳥の警報 | 鳥の声で危険を知る | 経験で学ぶ部分がありそう |
動物園で親子観察ビンゴ
次にキリンを見たら、いくつ見つかるか数えてみましょう。
- □ 近くにいる仲間と同じ方向を向いた
- □ 耳をくるくる動かした
- □ 舌を枝に巻きつけた
- □ 別のキリンへ近づいた、または離れた
- □ 鳥や音に気づいて食べるのを止めた
一つの動きだけで意味を決めず、動く前と後も続けて見るのが科学者の観察方法です。大声で呼ばず、静かに見守りましょう。
まとめ
- キリンの群れは入れ替わるが、よく会う仲間がいる
- メスは子どもを集め、一緒に見守ることがある
- 夜には横になり、低い声を出すこともある
- におい、骨、鳥の声から情報を集める
- ハミングや骨を噛む目的など、まだわからないことも多い
保護者の方へ:参考にした研究
- Sociability increases survival of adult female giraffes(2021年)
- ナーサリーグループと社会関係の研究(2020年)
- 野生キリンの夜間休息と警戒(2020年)
- 夜間のハミング音(2015年)
- におい調べと骨を噛む行動(2023年)
- ウシツツキの警戒声への反応(2025年)
※本文の画像は、行動をわかりやすく示した図鑑用イラストです。実際の観察写真ではありません。
情報確認:2026年8月

